過去の例会報告


地理教育部会 2004年度 1月例会

日 時: 2005年1月9日(日) 

場 所: 玉川上水

参加者
磯  高材(元大阪市公立学校長)   奥舍 憲雄(金蘭千里中・高等学校)  奈良 芳信(清風南海中・高等学校)
射手矢 武(清風南海中・高等学校)  齋藤  晃(中央大学附属高等学校)  冨田健太郎(智辯学園和歌山中・高等学校) 

1月例会報告
 「玉川上水  巡検」  

内 容 武蔵野台地の多摩西部地域を玉川上水沿いに、玉川上水と武蔵野台地の農業・住宅開発・学
園地などを含めて、現状をみつめる徒歩巡検を行った。
午前約5.5km、午後約8.5kmの計14kmを歩いた(地形図上での計測、実際は16km位か)。

※齋藤 晃さんの周到な準備と天候に恵まれて、快適な徒歩巡検でした。
行 程  羽村駅(JR青梅線):集合、東京方面への通勤・通学電車7〜10分毎
→まいまいず井戸:駅東側。地下水位が深いため、直径十数mの擂鉢状の穴を掘り、中心部に井戸を掘る。周りに螺旋状の道をつけ、井戸と地表を結ぶ。
→羽村取水口第1水門:旧陣屋跡、現取水事務所
           ほぼ全水量を取入れ一部を上流の小作<オザク>浄水場へ
第2水門:多摩川維持用水として2t/秒を放流
→第3水門:第1水門の下流500m、大半の水量を導水路で村山貯水池へ
→羽村市郷土博物館:取水口の川向い、玉川上水の説明映像、重文旧下田家住宅など
→上水沿いに歩く:途中に福生分水路
→福生−(JR青梅線)→拝島:昼食−(西武拝島線)→武蔵砂川
→玉川上水と残堀川との交叉:玉川上水は地下サイホン式で通過
→上水沿いに歩く:途中分水路あり
→玉川上水(西部拝島線と多摩都市モノレールとの交叉駅):小休憩(珈琲時間)
→小平監視所:ゴミ・土砂を除去、全量を村山浄水場へ、一部は野火止用水路へ
       代わりに多摩西部地区の下水処理水を玉川上水へ放流(鯉も泳ぐ清流)
→上水沿いに歩く:小平市上水新町まで、休憩(珈琲時間)
→たかの台−(西武国分寺線)→国分寺−(中央線)→吉祥寺:反省会(夕食)、解散

玉川上水について  磯 高材さん
  • 全長約43km
  • 羽村堰(海抜126m、羽村市)〜野火止分水点(海抜70m、小平監視所)〜四谷大木戸(海抜34m、新宿区)
  • 四谷大木戸から先は石樋・木樋を使って江戸城下町南西部へ給水した
  • 玉川上水の水は江戸市中への給水だけでなく、途中の分水(ex.1655年野火止用水)によって武蔵野台地 の開発にも利用され、台地住民の引用水、新田開発・畑作振興の灌漑用水、水車動力などに活用された。
  • 幕府が水番人を置いて管理させた結果、よく保全され、明治以後の近代的上水道の原水にもなった。
  • 現在、多摩川の水は羽村取水口のほか、少し上流の小作<オザク>堰から山口貯水池(狭山湖)へ送水、また 多摩川上流に小河内<オゴウチ>ダム(奥多摩湖)をつくり安定した水量を確保すると共に利根川上流に都営 ダムをつくり、利根川の水も利用している。
  • 福生市宮本橋〜四谷大木戸の開渠部分は高い歴史的価値を持ち、水と緑の自然豊かな憩いの空間でもあ ると言うことで、東京都条例 で1999年「歴史環境保全地域」に指定された(取水口〜宮本橋はすでに 自然公園になっている)。
  • 羽村取水口〜四谷大木戸の下流暗渠部分を除く約30kmは、2003年に文化財保護法に基づく「国の史跡」 に指定された。

 資料提供
齋藤  晃さん 玉川上水巡検メモ
当該1:25,000地形図(M40、T12、S26、S47、H02)
玉川上水関係資料(羽村市郷土資料館HPより)
羽村取水所見学のしおり(東京都水道局)
玉川上水散策マップ(東京都西部公園緑地事務所)
KODAIRAグリーンロード21km(小平市産業振興課)
こだいら ちょっと むかし(市報こだいらより)
小平市小川町周辺(『地図で歩く東京V』古今書院より)
射手矢 武さん 玉川上水(渡部一二『武蔵野の水路』東海大学出版会より)
奈良 芳信さん 玉川上水について(東京都水道局HPより)
玉川上水散策マップ(東京都水道局HPより)

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