過去の例会報告


地理教育部会 2004年度 4月例会

日 時: 2004年4月10日(土) 15:00〜17:30

場 所: 大阪教育大学附属天王寺中・高校 2F 視聴覚教室

参加者
磯高材(元大阪市公立学校長)  巽正憲(堺市教育センター)  奥舍雄(金蘭千里中学・高等学校)   
奈良芳信(清風南海中・高等学校) 吉水裕也(岐阜聖徳学園大学)  桑名智寛(大教大附属天王寺中学校)
冨田健太郎(智辯学園和歌山中・高等学校)
懇親会に濠国の日本語教師・イアン(IAN FRASER)さんも参加  

4月例会報告

オーストラリア見聞 ─修学旅行の引率をして─  冨田健太郎氏

※ 冨田氏は、修学旅行の引率で、2003年11月11日(火)から12月3日(水)まで、オーストラリアのメルボ ルンに滞在(ホームステイ:FRASER氏宅)した。その合間の個人的巡検や生徒引率の折りに撮影した地 理的写真を、プロジェクターを利用して、詳細に解説した。

◇1 メルボルン市と市内交通
  現在のメルボルンはシドニーと並ぶ人口330万人の大都市であり、気候がよく、世界有数の住みやすい場所という。市内には450以上の公園があり、フィッツロイ・ガーデンは昔の石切場の面影は全くない。開拓初期の建物もごく僅か残っているが、移民の国らしくイギリス人をはじめイタリア人、ギリシャ人、中国人、ベトナム人、インド人など様々な民族が混在し、市場や飲食店が並び世界各地の料理を楽しむことができる。
市内交通は、ゾーン地区と中心部がトラム・バス・電車で密接に結ばれているので、公共交通機関を利用するのが便利で、生徒にとっても極めて有意義であった。乗車券は、ゾーン、ゾーン間、全区間移動に応じた6種類と、2時間以内、1日、1週間、1ヶ月の4種類がある。乗車したら、必ず車内の刻印機を通すことと、目的地に応じた乗車券と車輛の行先を調べておくことが肝要である。
市内の1:25,000地図には、幹線・準幹線道路の名称は勿論、全ての道路の名称が記載されている。

◇2 砂洲と潟湖(1:100,000地形図)
  メルボルン南方約100km、バス海峡に面する小都市バーンズデイルの近くには、沿岸流が形成したと思われる長い砂洲と潟湖の地形がみられ、地形学習の教材となる。(1:100,000地形図を提示)

◇3 ウルル(エアーズロック)
  約6億年前に地下で形成された巨大な砂岩の一部が地表に突出した岩山で、数百万年の浸蝕でお椀状の形となり、風化作用で表面が特徴的な赤色の染まったという。
1984年、近くにリゾート施設(かなり高額)ができてから観光客が訪れるようになり、アボリジニが多数雇傭されている。観光客の7割は実際に岩山に登るというが、夜明前に出発し9時か10時には下山しないと厚さに苦しむそうである(冨田氏は天候が悪く、残念ながら登山できなかった)。登山よりは岩山の麓を歩く方が、地理の勉強には役に立つ。岩山に触れたり、まばらな樹木・草原、小動物、空の瀧壺(豪雨の時だけ瀧)、アボリジニによる岩陰の古い絵などを数時間かけて見て歩くのがお薦めである。
天候が悪くて、朝方と夕方に太陽に照らされて赤く映える岩山の素晴らしい姿を見られなかった(色がよくなかった)のは残念であった。

◇4 シドニー
  細長いジャクソン湾を南北に跨ぐハーバーブリッジと湾岸に建てられた白いオペラハウスの建物が中心である。
ハーバーブリッジは1932年完成、全長1,149m、8車線の自動車道、電車線、自転車道、歩道と幅広い。北からの自動車のみ有料。アーチ型をつくる鉄柱の上(元は補修・点検用)を観光客に登らせている。階段状になっており、最高部134mで案内人の指示にしたがいゆっくりと歩いて約2時間かかる。生徒の人数が多くて歩くことはできなかった。
オペラハウスは工事の遅れが有名となり、1973年完成。1,547人収容のオペラシアター、2,679人収容のコンサートホール、大小4つの劇場、5つのリハーサルスタジオ、レストラン、売店などがある。湾内観光船での海上からの眺めも良い。

 資料提供
巽 正憲さん 大阪の三大妙見山──能勢・交野・上神谷──について
磯 高材さん 上町断層系の長期評価(地震広報誌『サイモス』より)
1804年象潟地震(地震広報誌『サイモス』より)
確率論的地震動予測地図試作版西日本(地震に関するセミナー@東京より)



←もどる ▲TOP